
HOUSE DATA
建 築 地 |岐阜県本巣市
延 床 面 積|201.1㎡(60.83坪)
家 族 構 成|夫婦
落ち着いた佇まいと、和の風格を静かにまとった住まい。
長く愛されてきた日本家屋の良さを受け継ぎながら、現代の暮らしに寄り添う家として丁寧に形づくりました。
ご依頼のきっかけは、親戚の家を当社で建てさせていただいたこと。
昔ながらの日本家屋を望まれており、モデルハウスと私の自宅をご覧いただいた際に気に入ってくださり、ご依頼へとつながりました。
当初は既存宅のリフォームと新築のどちらにするか検討されていました。
既存宅は造りが丁寧で気に入っておられましたが、間取りの使い勝手や耐震性を考慮し、新築を選択されました。
欄間や建具など受け継ぎたいものは丁寧に引き上げ、新しい家へ再利用しています。


家づくりでは、息子さんの希望で全て手刻みとしました。
長い年月をかけて育った一本の木を、どの向きが最も美しく、どこに据えるのが最適か──。
木の癖や表情を読み取りながら、大工と相談しつつ丁寧に刻んでいきました。






手刻みの家は今では本当に少なくなりました。
大黒柱のあるこの家の上棟は、4日間かけて行われました。
梅雨の時期でしたが、雨雲が不思議と現場を避けてくれたのを覚えています。
手刻みによる梁や柱が組み上がっていく様子は胸に残る光景で、
お施主様にとっても”家が形になる特別な時間”となりました。









屋根裏には棟札を納めています。
棟札には建築年月日やお施主様、施工者、棟梁の名前を記し、
家の記録であると同時にお守りのような存在となります。
今回は桧の棟札を用意し、お施主様に文字を書いていただきました。
完成した住まいは、瓦屋根の重心の低さと木部の落ち着いた色味が調和し、
伝統と現代が自然に溶け合う佇まいとなりました。


内部は、松の丸太梁が架かる開放的なLDKを中心に、塗り壁のやわらかな空気と穏やかな陰影が調和する、木の香りと温もりに包まれた上質な空間となりました。





玄関は格天井(ごうてんじょう)を施し、風格のある凛とした佇まいに。
式台と上がり框の桧が、空間に品を添えてくれます。




格天井は、天井を木の格子で区切った日本の伝統的な意匠です。
光の陰影がやわらかく生まれ、空間に落ち着きと上質さが加わります。

式台には桧の一枚板を使用しています。
継ぎ目のない一枚板はどっしりとした安心感を生み、見た目にも美しく、住まいの第一印象をぐっと引き上げてくれます。
書院欄間を再利用した和室も落ち着いた佇まいに仕上がりました。
本物の素材だけでしつらえた空間は、時とともに美しさを深め、長く大切にされてきた建具が新しい住まいで息を吹き返します。






やわらかな照明の灯りと、木の温もりが心地よい洗面空間。
一枚板のカウンターとシックなタイルが目を引きます。
収納やコンセントの配置にも配慮しました。



トイレはじゅらく塗り壁で仕上げ、静けさを感じる落ち着いた空間に。
一枚板のカウンターには陶器の手洗いボウルを。
水栓や取手、ペーパーホルダーを黒で統一することで、
空間がほどよく引き締まりました。

お引き渡し後、「とても暖かい家」とのお言葉をいただきました。
シンプルだけど上質で、毎日の暮らしを少し特別にしてくれる住まい。
ご家族が大切にされてきた建具や欄間を受け継ぎ、これからの暮らしを静かに支えてくれる家になりました。












建方の様子、手刻みの様子を動画にしました。是非ご覧ください。
